姓名判断の内容とは
現在主流の姓名判断の内容は下記のようになります。まず姓名を5つの格に分類します。
1)天格・・姓の文字を合わせた数。姓は先祖伝来のもので、人格の数に大きな影響を与えるために成功運や向上運をみる箇所となる。
2)人格・・姓の下の文字と名の上の文字を合わせた数。姓名判断をする際は真っ先に見る箇所。その人の中心的な運命がわかり、性格なども把握できる。一生を通じて根本的に運命を左右する。
3)地格・・名の文字を合わせた数。中年前の運命を見る箇所。しかし他の格との関連で生涯にわたり影響を及ぼす。
4)総格・・姓名のすべての文字を合わせた数。中年以後、晩年に至る運命を見る。後運ともいう。
5)外格・・総格の中から人格を抜き去った数。主運についで大事な格。副運ともいう。
画数を霊数表と比較する
名前の吉凶を判断する際は最初に姓名を5つの格に分解し、それぞれの画数を算出します。ついでそれぞれの格の吉凶をみていきます。その際に参考にするのが吉凶を記した「霊数表」です。霊数とは1~81画までの画数の吉凶を記したもので、熊崎氏が創出したものと思われます。
熊崎氏は著書の中で「数は万物の根源であって、いかなるものも数の支配を免れることはできない」と述べています。そして数の基本は1~9までの基数であるところから宇宙の万有は9と9の交錯する81の画数に収まると考えたようです。熊崎氏の考え方によれば数の中で特に重要なのは1~9までの基数であり、その解釈を易学の知識を応用して考え出したと思われます。熊崎氏によると数の吉凶は以下のようになります。
1の数字の意味)この数は始める、収めるの意味があり、物事が始まるところから独立、健全、発達、富貴、名誉の解釈となる。
2の数字の意味)2という数字は1を合わせた数であり、合わせ物は離れ物というごとく分離、不具、不完、不徹底の意味となる。
3の数字の意味)1の陽と2の陰が合して成形確定の数となる。安定しているところから権威、福徳、才知、富貴となる。
4の数字の意味)分離不完の数字を二つ合わせた数であり、その意味からすると破壊滅裂、困難、逆境、破滅となる。
5の数字の意味)2の陰、3の陽が合わさって成立した数であるから、福寿、円満、繁栄、栄誉となる。
6の数女の意味)3と3の合数が6である。3の知徳の意味もあるが、陽どうしの組合わせなので和を欠き、26以下の数では波乱となる。
7の数字の意味)5の盛運と2の破運、3の陽数と4の破滅運の合なので、万難突破の気力、頑強不和の数となる。
8の数字の意味)5の盛運と3の知力、4の破滅数を重ねた数が8である。混ざり合って鉄石の意志と勇気、気力となる。
9の数字の意味)奇数の最後の数字で知力、才能あるも、一歩進めば10の空虚数であることから孤独、不運となる。
10の数字の意味)数の終わりであり、陰の極にして一切の空漠0を含み、その暗示から大凶。もっとも忌むべき数となる。
姓名判断の画数は旧字体で数える
11以後の数はほぼ1~10までの繰り返しが多いのですが、途中で若干の変更を加えています。たとえば4画は破壊滅裂の数ですが、24画では「無一物より大功を奏する吉祥運」となっています。漢字の画数は旧字体の「康煕字典」に沿ってなされます。
最初に5つの格(天格、人格、地格、総格、外格)の画数を出し、それぞれを霊数と合わせて吉凶を出します。簡単なので初心者でもすぐにできます。しかし他にも天格と人格、人格と地格の関係などもみなければなりません。熊崎氏は「画数だけでは判断できない」と言います。それぞれの画数が良くても、隣り合う格の相性が悪ければ良いとは言えない、と述べています。
隣り合う格どうしの良し悪しの判定は、主に画数を五行(十干)に変換して行っているようです。そこから合理的に判断すると、最初の1~10の数もおそらく五行(十干)と関係づけて発想したものと推測できます。
姓名判断の霊数とは何か
霊数の意味が書いてある本をお持ちの方はそれを見てください。霊数の最初の数字である1~10の数の意味に着目してください。易学の知識のある人はすぐに気づくと思いますが、これは十干の象意そのものです。要するに以下のような解釈になります。
1)甲(きのえ)陽木=1数
2)乙(きのと)陰木=2数
3)丙(ひのえ)陽火=3数
4)丁(ひのと)陰火=4数
5)戊(つちのえ)陽土=5数
6)己(つちのと)陰土=6数
7)庚(かのえ)陽金=7数
8)辛(かのと)陰金=8数
9)壬(みずのえ)陽水=9数
10)癸(みずのと)陰水=10数
十干である甲木から癸水までの10種類を1~10の数字に当てているのです。十干の意味を知っている人は霊数にある意味と十干の意味がとても似ていることに気づくでしょう。そして11以降の数字は1~10の数と同じように繰り返しています。
霊数の大まかなパターンは1=吉、2=凶、3=吉、4=凶、5=吉、6=凶、7=吉、8=吉、9=凶、10=凶となっています。これを十干と比較すると面白いことがわかります。
1)甲木=陽木で剛直、豪胆、実直。
2)乙木=陰木で繊細、ひ弱さ、陰湿。
3)丙火=陽火で快活、明朗、陽気
4)丁火=陰火で情熱、落ち着き、魅力。
5)戊土=陽土で自信、活動、魅力。
6)己土=陰土で信用、確実性、几帳面。
7)庚金=陽金で剛毅、義理、強さ。
8)辛金=陰金で気品、気位、高貴。
9)壬水=陽水で知恵、鷹揚、柔軟。
10)癸水=陰水で繊細、保守。弱さ。
基本的に陽の数は吉、陰の数は凶としており、ただ8の数には吉の作用もあるとし、9の数は陽にもかかわらず凶としているのは水の鷹揚な性質を嫌ったのか、と推測できるのです。
ただ四柱推命のような本格的な干支学を学んだ人には、陽=吉、陰=凶というのはとんでもない屁理屈であり、実際の吉凶は陰陽で決まるはずもなく、干支のもつ性質の違い、その配列の仕方、さらには流運の変化により吉が凶になり、凶が吉に変わることもある、というのが事実なのです。要するに十干じたいに吉凶というものはなく、ただ性質の違いがあるだけ、ということになります。
姓名判断の大本になっている霊数の解釈がこの十干を基にして作成されたとなると、この霊数の解釈じたいが怪しいものになりかねません。熊崎氏が実際はどのような検証を重ねて霊数を考案したのかは定かではありませんが、この十干に真似て考案したものではないことを願うばかりです。この点は今後もさらに後世に検証されていくことになるでしょう。