八島高明の風水教室1

90年代に大流行した風水占い

90年代の東アジアや日本では風水占いが大きなブームとなり、テレビや雑誌を連日のように賑わしておりました。しかし最近ではその風水ブームも下火となり、かつての勢いは無くなりました。ただ、そもそも「風水」とは何でしょうか。私は以前から風水占いブームには懐疑的な印象を持っておりましたが、現在のように風水占いブームがだんだんと下火になるにつれて、ようやく多くの人が風水の本来の意味を理解し始めたのではないか、と思うようになりました。このブログでは「風水」と「占い」の関係について検証していくことにしましょう。

 

沖縄に残る風水思想とは

そもそも「風水」という言葉は日本ではあまり使われていませんでした。日本では古来から似たようなものとして「家相」が有名であり、日本の中では沖縄だけに風水の思想が伝わっていたようです。沖縄は琉球王国の時代から中国との交易が盛んであり、特に交易の深かった福建省は風水の盛んな土地柄であったことから、他の技術や学問と一緒に風水が入ってきたようです。

 

沖縄では今でも風水の名残をみることができます。有名なものでは道路の三叉路に見られる「石敢當」(いしがんとう)、民家の屋根に見られる獅子(シーサー)、また古民家の門を入ると大きな壁「ヒンプン」を見ることができます。さらに沖縄の伝統的なお墓である「亀甲墓」も同様であり、沖縄では古来から「風水」のことを「フンシ―」と言い、今でも古老たちは家の「フンシ―」を大事にする人々がいます。

 

もともと風水は占いではない?

「風水とは何か?」と聞かれれば、多くの人が占い的なイメージを思い浮かべることでしょう。しかし沖縄に見られるような本来の風水を調べると、風水はそもそも占いではなく、現代で言うところの「環境工学」のようなものだと言えるようです。最近では土地開発をする前に「環境アセスメント」という事前調査を行います。この土地の開発が周囲の環境にどのような影響を及ぼすのか、周囲の生態系などの調査を行うのです。

 

本来の風水もそれと似たような発想法で、古代に都市づくりをする際に周囲にある山や川の配置、道路や風の向きなどを調べて、その土地が「都市づくり」として適しているかということを風水を使って調べるのです。

これが本来の風水の姿だとすると、現代のような安易に使われる占い的なものではなく、風水と言うものが本質的には「古代の環境工学」のようなものであったことがわかるのです。

ところが現代の風水占いの多くは本来の住環境を見るためのものではなく、多くは「家の内部」にある「間取り」や「インテリア」、あるいは「色使い」などに関心が向けられています。その詳細は後に深く検証していきますが、果たしてこうした「間取り」や「インテリア」や「色」を変えるだけで、本当に人の運命を変えることができるのか、それを深く検証する必要があるのではないでしょうか。もしあなたがこうした風水占いに少しでも疑問を持ったとしたら、この検証が少しは役に立つかもしれません。

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2021年09月18日