八島高明のタロット教室2

タロットの起源とは

 

タロット術の起源を調べていくと、混乱した様々な解釈があふれていることに気づきます。

 

1)タロットは古代エジプトに起源を持つ。

2)タロットは古代インドで生まれた。

3)タロットはバラ十字団が使っていた。

4)タロットは古代から魔術の道具であった。

5)タロットはユダヤのカバラ思想と関係がある。

 

このようにタロットにはいろんな説があります。それはタロットカードのシンボル図像が神秘化されているためですが、ただどれも歴史資料などがあるわけではありません。

 

 

タロットはエジプト起源か

タロットの古代エジプト起源説は、もともと18世紀末のフランスで活躍したクール・ド・ジェブランという作家が提唱しました。ですが何の証拠もないのです。ジェブランはタロットとエジプトの「トートの書」を結び付けようとしましたが、証拠資料などは上げていません。さらにこのジェブランのエジプト説を受けて、エッテイヤというフランスの占い師が「タロットと理論の実践」という本を出版してエジプト起源説を支持したことから広く普及したと思われます。

 

その当時のフランスでは古代エジプトの文物が流行し、いわゆる「エジプト熱」に浮かれていました。ですから「古代エジプト説」が過剰に神秘化されていったのかもしれません。また古代エジプトの神秘性を利用し、それを商売に使ったのかもしれません。しかし正しく見れば、タロットの発祥や起源については諸説ありますが、古代エジプトまでさかのぼるのは少し無理があるように私には思えるのです。

 

タロットは中世のイタリア起源か

歴史的な資料で見る限りは、15世紀のイタリアが起源であるという説は信ぴょう性があります。実際にタロットカードの図像をみると、古代エジプトとの関わりというよりも、キリスト教と深い関係があるのは明白でしょう。イタリアはカトリックの総本山であるバチカンのある国ですから、キリスト教のヨハネ黙示録などを参考にしてその教義をカードの中にシンボライズ化したとしても不思議ではありません。

 

タロットカードの内容とは

実際にタロットカードを見ると、大アルカナ2番の「女教皇」、5番の「法王」、15番の「悪魔」、20番の「審判」、21番の「世界」などは明らかに「聖書」と深く関わっています。タロットカードの内容と構成をみると、もともとタロットカードはキリスト教の教義を盛り込んで制作され、それが占術師などを介して民間に広まっていったとみるのが正しいのかもしれません。

 

タロットカード「大アルカナ」の意味

タロットは大アルカナと呼ばれる22枚のカードと、小アルカナと呼ばれる56枚のカードから構成されています。アルカナとはラテン語で「秘密」「神秘」を意味しています。以下に大アルカナの構成と意味を書いてみます。

 

1)魔術師・・物事を生じる意思の側面。

2)女教皇・・英知の側面。女性で英知を表現。

3)女 王・・物質的な豊かさ。豊穣さ。

4)皇 帝・・威厳。統率力。支配。

5)法 王・・厳正。秩序。公正。宗教心。

6)恋 人・・異性。恋愛。仲間。伴侶。

7)戦 車・・身体。活動。物質性。

8) 力 ・・獣性。本能。無意識。

9)隠 者・・隠棲。修行者。賢者。秘密。

10)運命の輪・運命の変化。カルマ。過去。

11)正 義・・道理。善行。理性。

12)吊るされた男・忍耐。苦しみ。試練。

13) 死 ・・停滞。静止。行き詰まり。

14)節 制・・規則。節度。禁欲。

15)悪 魔・・獣性。怒り。嫉妬。本能。欲望。

16) 塔 ・・傲慢。慢心。転落。失敗。

17) 星 ・・憧れ。夢。希望。ロマン。

18) 月 ・・感受性。静的。裏面。

19)太 陽・・自我。活動的。肯定。表面。

20)審 判・・過去の清算。理想の実現。

21)世 界・・新しい秩序。幸福な世界。

 

タロットの解釈について

以上の解釈は一般的な解釈に加えて、私個人の考え方も入っています。タロットには一般的な解釈というものがありますが、タロットは使う人によって解釈が微妙に異なるものです。なぜでしょうか。それはタロットには想像性をもたらす工夫がされているからです。もともとタロットには固定化した解釈というものが確かにありますが、細かな点は自分自身の解釈を採用しても問題はありません。そもそもタロット術はやり方が問題ではなく、あくまでも自分自身の内面とのアクセス法であることがわかれば、解釈の基準にこだわる必要はないのです。

 

タロットの大アルカナと小アルカナ

タロットは大アルカナだけでも十分に使えます。ですが細かい解釈をする場合には不十分ですから、鑑定内容により小アルカナを必要とする場合があります。簡潔にいうと「大局的な判断は大アルカナ」を使い、「詳細な判断は小アルカナ」を使うというのが理想的な鑑定法です。小アルカナは「具体的な細かい回答を聞ききたい場合」などは特に使いやすく、そして答えそのものが明白に出るという特徴があります。

 

 

小アルカナの解釈とは

小アルカナは誰でも知っているトランプと同じ構成で、4つのスートに分類されます。ハートはカップ、スペードはソード、ダイヤはペンタクル、クラブはワンドとなります。スートには以下の意味があります。

 

1)カップ・・愛情。喜び。水の作用。

2)ソード・・戦い。勇気。気の作用。

3)ペンタクル・・商業。お金。地の作用。

4)ワンド・・活動。生活。火の作用。

 

小アルカナを使う場合は4つのスートを使い分け、愛情問題であればカップ、仕事などはソード、お金のことはペンタクル、生活のことはワンドというように分類して使うと鑑定も容易になるでしょう。具体的な回答が直接出るという特徴があります。では、また次回のブログに続きます。

 

八島高明のタロット教室3へ続く

 

2021年01月19日