紫微斗数は中国に起源をもつ占星術の一種であり、生年月日、生誕時間、出生地の情報をもとに個人の運命を予測する占術です。紫微斗数の「紫微」とは紫微垣(しびえん)の略で、古代中国の天文学では北斗七星の北にあるとされた天帝の居所とされた星座のこと。こぐま座を主とする星座群のことを示します。このブログでは中国起源の占星術ー紫微斗数について検証していきましょう。
紫微斗数で何がわかるのか
紫微斗数は西洋占星術のように実際の太陽や月、火星や木星や土星を使うのではなく、現実に存在する星の名前を借用した「仮想の天体」を使用します。これを「虚星」と言います。その虚星に様々な意味をもたせ、西洋占星術のホロスコープのように虚星を12宮に配置し、その良し悪しを見ていきます。紫微斗数では自分のことや兄弟のこと、夫婦のこと、子供のこと、財産や仕事、病気や不動産運のことなどがわかるとされます。
虚星を使う紫微斗数とは何か
紫微斗数も西洋占星術と同じように「生年月日」と「生誕時間」「出生地」を判断の基準とするところから、いちおう占星術のジャンルに入ります。ただし紫微斗数で使われるのは実際に存在する星の名を借用した「仮想の天体」ですから、これを西洋占星術の実在する天体と比較してみるのもおもしろいかもしれません。
紫微斗数の命盤と命宮について
さて、では紫微斗数の占断法をみていきましょう。紫微斗数はその名の通りに北極星に比定されるように「自己の座」を中心に据えて、それを取り巻く12宮(ハウス)が2時間単位で回転していきます。実際の星の運行も同様に、北極星を中心として周囲の星座が一年で一回転しますが、紫微の名前もやはりそこに由来するのでしょう。
紫微斗数では生年月日をまず「旧暦」に変換し、さらに生誕時間を補正したものから表を使って「命盤」と呼ばれるホロスコープを作成します。最初に「命宮」と呼ばれるものを計算で出します。面白いことに、その算出法は西洋占星術のハウスの出し方とそっくりなのです。まず生誕月と生誕時間から命宮の位置が自動的に決まります。そして命宮を中心にして他の11宮(ハウス)を反時計周りに配置していくのです。
西洋占星術でも生まれた瞬間の東の地平線上にあるハウス(宮)から12のハウスに分割していきます。これも紫微斗数と同様に2時間ごとに反時計周りに配置していくのです。歴史的にみると、この紫微斗数が使われ出したのが明の時代(1368~1644)ですから、この頃に西洋やインドの占星術との接触があったのかもしれません。おそらく当時の中国の占術家たちが西洋の占星術の知識を吸収し、そこに古来からある干支説や遁甲の知識を持ち込んで、現在のような紫微斗数占術を作成したと考えることができるでしょう。この点については後に詳しく見ていくことにします。
紫微斗数の12宮の意味とは
命宮・・自分のこと。器の大きさや精神的な傾向を知る。判断では最も重要な宮。
兄弟宮・・兄弟に恵まれるか、兄弟が助けになるかをみる宮。
夫妻宮・・どんな配偶者を好むか。どんな配偶者と結婚するかを知る宮。
子女宮・・どのような子供に恵まれるか、子供との関係を知る宮。
財帛宮・・お金持ちになれるか、どのような財の傾向があるのかを知る宮。
疾厄宮・・罹りやすい病気、体質が強いか弱いかを知る宮。
遷移宮・・旅行などの移動、外部の人間関係を知る宮。
奴僕宮・・部下や目下との関係の良し悪しを知る宮。
官禄宮・・仕事の傾向性、適職、出世などを知る宮。
田宅宮・・不動産の運、住宅環境の良し悪しを知る宮。
福徳宮・・遊び、趣味、享楽性などの余暇的な良し悪しを知る宮。
父母宮・・両親との関係の良し悪し、力になってくれるかを知る宮。
紫微斗数の占術としての考え方じたいは西洋占星術と似たようなものもありますが、ハウスと宮の意味もだいぶ違いますし、また宮に入る星も100個以上もあるとされ、その解釈もかなり複雑になっています。
紫微斗数の吉星と凶星の意味
紫微星・・最も強い作用をする吉星。帝旺を意味する。
天機星・・知恵や器用さを表す。吉星。
太陽星・・行動力があり明るい。自意識が過剰な面がある。吉星。
武曲星・・財運を表す。実直で真っすぐな性格。吉星。
天同星・・温厚な星。やさしくて人気がある。吉星。
廉貞星・・実利主義で好き嫌いが激しい。人間関係に注意が必要。凶星。
天府星・・温厚で寛容。度量が大きい。おおらかさを表す。吉星。
太陰星・・女性的でロマンチスト。繊細さを表す。吉星。
貪狼星・・享楽さと欲望を表す。現実的で合理的。色情がある。凶星。
巨門星・・口うるさくトラブルを起こしやすい。探究心は強い。凶星。
天相星・・補佐的な能力がある。名誉を表す。吉星。
天梁星・・親分的で統率力がある。私心が無く公的な面を優先する。吉星。
七殺星・・権威、権力を表す。勇気があるが乱暴なところがある。凶星。
破軍星・・行動的で投機的なものを好む。型にはまらないが苦労も多い。凶星。
文昌星・・学問や芸術など、文芸的な才能を持つ。知的で上品な雰囲気。吉星。
左輔星・・補佐的な役割をする。他人から助けを得やすいとみる。吉星。
右弼星・・左輔星と同じ。
天魁星・・目上からの引き立てがある。良いことを引き付ける。吉星。
禄存星・・物質や財に恵まれる。吉星。
陀羅星・・怪我や事故、災禍を意味する。凶星。
火星・・粗野でせっかちだが、スピードがある。一時的な成功。凶星。
鈴星・・火星に同じ。
化禄星・・財禄を表し、強い影響力を発揮する。
化権星・・試験運に強く昇進のチャンスをつかむ。
化忌星・・宮に悪い影響を及ぼす。
紫微斗数には他の星も入れると全部で100を超える虚星があるとされますが、多く使えば使うほど実際の判断は困難になるので、影響力の強い30個ほどの星で判断するのが良いとされます。では、この続きは次回にやりましょう。次は紫微斗数の起源を検証していきます。