八島高明の算命学教室3

算命学を検証する

さて、確かに算命学は四柱推命と比べると理解しやすいものであり、親切に作られているので、初心者が自分の運命を概略的に知るものとしては良いものでしょう。しかし的中率や正確さを求める運命学として見た場合、そこに問題点があるのは否めません。その一つは「シンプル過ぎる構造ゆえの問題」です。

 

算命学では「人体星図」という表を利用して判断をしていきます。この表は確かに見やすく明瞭でもあります。自分の知りたいことをすぐに知ることができるので、その点では優秀なものです。ただ、もともとは干支の羅列を表に組み込んだ為に、いくつかの問題点が出て来るのです。

 

それは干支自体を一つの表システムにして、それに判断を頼るために、そのベースとなる干支自体がもつ力学的な作用を読むことができないという点にあります。四柱推命の勉強をした方には理解できると思いますが、四柱推命の命式の判断は「干支の並び方」や「その配列」、そして「干支じたいの性質」を考慮して、その力学的に変化する構造を読み取っていくことが重要です。

 

干支は固有の性質を持ちますが、それは単純にそれのみの性質で読めるものではなく、その配列による変化によってその解釈もまったく変わっていくのです。

 

たとえば干と干の関係はその性質によって力量なども変化させます。それは干支ともに相性や相剋、比和などの関係性から論じなければなりません。つまり、同じ干支であっても配置の仕方によって解釈の内容がかなり変化することがあるのです。

 

ですから、これらを考慮せずに一つの表にシステム化すると、その変化自体を読めなくなる危険性が出て来るのです。四柱推命ではさらに「大運」という変化する運気もあり、その影響も命式の干支に大きな影響を及ぼしそれを変化させるので、命式そのものを固定化して解釈することはできないのです。

 

また、算命学では生まれた時間(生誕時)を考慮しませんが、その点も問題となります。四柱推命では生まれ年・生まれ月・生まれ日・生まれ時間の4つを使用するので「四柱推命」と呼ばれますが、この中でも生まれ時である「時柱」の要素は非常に大事なものです。

 

たとえば生誕時の中に年月日にはまったくない干支が入る場合があります。生誕時と言うのはその人の未来の方向性や心の中に秘められた願望などを示しているので、この要素を無視して正確な鑑定をすることはできません。実際に鑑定をするとわかりますが、生誕時を入れない「三柱推命」は時に大きな間違いを犯すものです。私の経験からいえば生誕時は鑑定の際には必要不可欠の要素でもあるのです。ですから、算命学でこの要素を入れていないのは、あまりにももったいないという事になります。

 

ただ、四柱推命においても生誕時間を使用しないものや、あるいは生誕時を使用しても、全国にある都道府県ごとの時差を補正していない四柱推命もありますので、これらも誤った使い方となる可能性があるのです。

 

なぜ生誕時が大事なのか

なぜ生誕時が重要になるのでしょうか。四柱推命や算命学において最も大きな危険性は「生日が変わることがある」という点にもあるでしょう。たとえば午前0時前後に生まれた人の場合、都道府県の時差を補正した場合に「前日生まれ」になったり、あるいは「後日生まれ」になったりすることがあるのです。日本で使用している時間は兵庫県の明石を標準時としたもので、実際の時差は日本において東西で2時間ほどの時差が存在しています。ですから正確な時柱を出すためには時差の補正は絶対に必要な要素と言えるのです。

 

では、なぜ四柱推命や算命学において生日が変わることがそんなに問題なのでしょうか。それはこれらのシステムが生日を中心に据えて、多くの判断をしているからです。たとえば四柱推命では生日を「日干」として算出し、その日干から他の干支をみて通変や12運などを出していきます。そして実際の判断の多くはこの「通変」や「12運」を使用しますので、そのもととなる日干が非常に重要になってくるのです。

 

このように四柱推命では生日が解釈全体を決める最重要要素となりますので、生誕時を補正しない四柱推命や、その他の類似した干支を基にする占術は、たとえば生誕時の補正によって生日が変化する場合、まったく見当違いの解釈をしてしまう危険性が高くなるのです。

 

私はいつも思うのですが、どの占術を研究しても、これらは完全に完成したものではなく、それは四柱推命とて例外ではありません。ですから、これらの研究に携わる者はその知識を過信することなく、常に統計的なデータをその基盤に据えて、長くかつ地道にその研鑽をしていく必要があるのかもしれません

 

算命学教室(了)

2022年06月04日