八島高明の四柱推命教室3

四柱推命を使って占いをするには、まず「命式」「大運」「年運」などを書き出す必要があります。命式とはその人の生年月日時の天干と地支を書きだしたものに、リーディング用の通変、12運などを配置したものです。この全体像をみながら判断を進めていきます。以下がその手順です。

 

1)干支暦から、生年月日時の干支を書き出して4つの柱に配置する。

2)生まれた日の干(日干)から干通変や支の12運を配置する。

3)各柱の干支の配置や五行の関係性を計算して全体像を把握する。

4)大運を所定の算出法により書き出し、日干から見た通変、命式との相関を総合的に把握する。

5)年運、月運、日運などを出して命式や大運との関係性を読む。

 

以上の手順を踏まえてリーディングを進めていきます。以下はその詳細です。

 

命式の算出法について

1)干支暦から干支を配置する・・干支暦は現代のカレンダーには少なくなりましたが、旧暦を使用している地域には干支暦入りのカレンダーがまだ使用されています。

 

ただ四柱推命で使うには占術用に編纂された市販の干支暦本を使用します。精度の高い干支暦としては武田考玄先生の「万年暦」がお奨めです。もっとも最近はパソコンを使用して命式を出す場合が多いので、パソコンで命式を算出する場合は「干支暦」は特に必要ありません。

 

2)通変と12運を配置する・・通変や12運とは命式を解釈するための記号のようなものです。通変には10種類あり、日柱の天干から各柱の天干をみて配置していきます。

 

通変は端的にその人の「メンタル性」を表示できる非常に優れた技術であり、四柱推命独自のものです。初心者が最初に魅了されるのがこの通変の技術でしょう。通変の一つ「傷官」という二文字だけで、その人の本質を瞬時に把握できるのは四柱推命だけでしょう。以下が10種類の通変です。

 

通変の意味と作用について

比肩・劫財・・・日干と同じ五行で陰陽が同じものを比肩、陰陽が異なるものを劫財とします。深層心理の「自我作用」と深く関連します。

 

食神・傷官・・・日干から生じる五行で陰陽が同じものを食神、陰陽が異なるものを傷官とします。深層心理の「感情作用」と深く関連します。

偏財・正財・・・日干から剋する五行で陰陽が同じものを偏財、陰陽が異なるものを正財とします。深層心理の「身体」と深く関連します。

 

偏官・正官・・・日干を剋する五行で陰陽が同じものを偏官、陰陽が異なるものを正官とします。深層心理の「理性」と深く関連します。

 

偏印・印綬・・・日干を生じる五行で陰陽が同じものを偏印、陰陽が異なるものを印綬とします。深層心理の「知性」と深く関連します。

 

この通変を年月時の天干に配置し、また大運や年運、月運の判断にも使用します。次に12運と呼ばれるものを干支に配置します。これは通変と異なり、その個人の情緒性に基づく感情、対人傾向を暗示するものです。通変と同様にリーディング用の大事な技術です。

 

12運の意味と作用について

12運とはもともと人間の一生涯における盛衰を12の状態に分類したものです。人間の一生は夢見心地の赤子に始まり(胎)、無邪気な青少年期(長生)を経て、力量を伴う大人の状態(帝旺)において頂点を極めた後、その後は安定した状態(衰)から力量の衰えた状態(病)へと進み、やがて静かな状態(死)を迎えます。そして最終的には身体は無(絶)に帰します。

 

こうした人間の一生涯を参考にして考案されたのが12運なのですが、これを使用することで個人の内面における「心理エネルギーの盛衰」が正確かつ精緻にリーディングできるものです。まさに古代人の英知と呼べるものでしょう。以下が12運の意味です。

 

胎)夢を見ている赤子の心理状態。

養)甘えの強い幼少期の無邪気な状態。

長生)育ち盛りの生育の天真爛漫な状態。

沐浴)刺激や変化を好んで遊び歩く状態。

冠帯)親に反抗して我が強くなる状態。

建禄)親から独立して一家を持つ状態。

帝旺)最も力量を持ったピークの状態。

衰)だんだんと力量が衰えていく状態。

病)現実に執着して心を患う状態。

死)気持ちが内向して静けさを好む状態。

墓)本能の波風が収まった簡素な状態。

絶)すべての動きが途絶えた状態。

 

12運と通変を使えば、初心者でもその個人の全体像を把握できるものです。しかしこれだけに頼ると鑑定ミスをすることになりますので注意が必要です。最も大事なのは以下のように「干支の力量」とその「配置」、「その相関性」や「バランス」を正確に把握することなのです。

 

3)五行の配置や強弱、バランスを計算する・・・生年月日時の干支や通変、12運を配置したあと、次に干支の五行の配置、強弱、相関、バランスなどを分析していきます。全ての判断の基礎としては「陰陽」「五行」の思想に基づきます。陰陽五行思想は単に中国の古代思想ではなく、実は自然学的な原理に基づく科学的な背景があるものですが、多くの人がこの事実にまだ気づいていません。以下が陰陽と五行の意味です。

 

陰陽と五行の意味とは

 

陰)物質的なエネルギーの維持、保存性。

陽)自我的なエネルギーの創造、展開性。

木)純粋で真っ直ぐな性質、発展、生命。

火)明るく俊敏な性質、闘争、本能心。

土)活動的で組織的な性質、固定、蓄積。

金)美意識・調和的な性質、芸術、学問。

水)英知的・平和的な性質、教育、調和。

 

陰陽五行は自然学的な背景を持つ実在のエネルギーであり、この性質や相互のエネルギー的な関係性を正確にリーディングするのが四柱推命、と言っても過言ではありません。これをどれほど正確に読めるのかが鑑定者の腕の違いとなるものですが、まだまだ理解していない人が多いのも事実です。では、次回に続きます。

 

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2021年11月22日