八島高明の家相教室1

家相と風水の違いについて

昔から日本では風水ではなく家相が盛んでしたが、最近では風水と家相が混然一体となりつつあり、これらを明確に区別することも難しくなりつつあります。しかしこれらはそもそも別物であり、簡潔に言うと日本生まれの環境学が「家相」であり、中国生まれの環境学が「風水」と言えるでしょう。

 

家相は文明が発展して、人間が自分の住む住環境を意識し始めたときに生まれたものです。風水と家相の大きな違いは、特に「鬼門」の扱い方にあるようです。中国の風水では鬼門(東北の方位)のことをほとんど取り上げません。そもそも風水には本来的に「鬼門」という発想法が存在しないのです。

 

また、中国の風水では「本命卦」というものを使って方位の吉や凶を判断します。これも家相にはない方法です。他にも風水では方位を家相のように「12方位」ではなく、「24方位」や「8方位」、あるいは「36方位」に分けるのが一般的です。またさらに一方位の角度の取り方も東西南北を各30度とするのではなく、風水では全方位を均等に45度とするのが一般的です。このように風水と家相には様々な違いがありますので、これらは本質的にはまったくの別物であると考えるべきでしょう。

 

家相と風水は占術ではない

さて、風水や家相を占術=運命学と考える人が多くいるようです。しかし厳密に言えば、これらは占術でも運命学でもありません。運命とは本質的に「人間の潜在意識の中に宿るもの」だからです。

 

辞書で「運命」という意味を調べると、運命の「運」とは「巡り行くこと」「動くこと」を示しており、「命」とは「天や神から与えられた宿命」という意味ですから、これらを合わせると運命とは「天や神から与えられた宿命が巡り動くこと」という意味になります。つまり、こうした作用は人間の内面に働くものであり、そうした心の内面の変化や様相を読み取る技術を持つものを運命学、あるいは占術と呼ぶことができるでしょう。

 

運命学の本質的な意味とは

人間は確かに住む場所の影響を受けるものです。ですから外部環境の刺激が少しづつ心の内面にも影響し、それによって心の状態が変化していくことは事実でしょう。ただ、そうした外界からもたらされる刺激や影響というのは家や住環境だけではなく、実は他にも様々あるのです。たとえば、

 

1)友人関係の影響

2)生まれた時代背景

3)そのときの教育環境

4)両親や兄弟の影響

5)住んでいる地域の影響

6)国家の思想的な影響

 

他にも多数ありますが、こうした外部から心に影響を及ぼすもの、実はたくさん存在するものです。もし、家相や風水を運命学とすると、これらすべても運命学ということになるでしょう。しかし通常、こうしたものは運命学とは言いません。それと同様に外部の環境的な影響を扱う家相や風水は、厳密な意味で言えば運命学とは呼べないのです。

 

運命学とは何か

こうした外部的な要因は、運命学や占術の範疇には入りません。運命学と言う場合、それ以外の心の内面世界で働く作用を扱うものを指します。たとえば霊感的なものを使うタロット術、あるいは易断、他にも統計学的な知識に基づく四柱推命や占星術など、これらを総称して運命学、あるいは占術というのです。以下にまとめると、

 

1)タロットや易・・直感力や霊感を使って心の内面の占断をする技術やその方法。

 

2)四柱推命や占星術・・統計学を使って天体的な作用が及ぼす心の内面を読み解く技術やその方法。

 

3)手相術や人相術・・内面的な心の作用が「相」として外部に現われてきたものを読み解く技術やその方法。

 

これらはすべて人間の内面的な心の様相の変化を対象とし、その内面の変化を読み解く技術や方法を持っています。そして、それを読み解くのが「運命学」ということになります。

 

その対象となる心の内面を「潜在意識」と言い換えても良いと思います。タロット術や易は「直感力」を駆使してその潜在的な動きを読み解きます。四柱推命や占星術は「統計的な知識」に基づいた技術で潜在意識の変化を読み解きます。また手相や人相は占者の「経験的な知識や勘」によって潜在意識の微妙な変化を読み解きます。これらはいずれも「心の内面を読む」ことに共通点を持っているのです。では、この続きは次回にやりましょう。次回は家相の起源と内容を検証していきます。

 

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2022年06月06日